そこは雪の止むことのない純白の街。 ようやく辿り着いた安息の地に、無数のきらめきが舞い降りる…
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もってけ!ブレザー…じゃねぇ…
2007-08-03 Fri 01:15

夕食後にテレビを見ながらくつろいでいる勇気。

勇気:
あ~~…暇だ…
姉貴誘ってゲームでもすっかな


と、その時。

――ドスンッ!!

勇気:
な、何だ何だ?!


突然大きな音に、思わず外に飛び出す勇気。

しかし、ここは丘の上の一軒家。
かれ間違っても車が突っ込んでくる事はない。

勇気:
冷静に考えればそうだな…ということは……


思い当たる節は、1つしかなかった。
 


普段双子が寝室に使っている部屋以外はほとんど空き部屋なのだが、今日に限って廊下を挟んで点対称になる部屋のドアから明かりが漏れている。

そこからテンポのいい曲が流れていて…

――ドシンッ!!

??:
い、いたたたた…


明らかに聞き覚えのある声も聞こえてくる。

勇気は頭を抱えながらドアを手前に引いた。

すると、

??:
え…?
うわわわわわっ


ドアもろとも手前に転げてくる人影。

勇気:
…………なあ姉貴
一体何をしてるんだ……?


優希:
ほぇ?
……あっ!


衝撃音の原因である優希が、顔を真っ赤にしながら勇気を見上げていた。

その姿はTシャツにスパッツ、長めの髪はヘアバンドでまとめてあって、いわゆる「動きやすい格好」だ。

這うようにして大急ぎでプレイヤーを止めると、引きつった笑顔を見せながら優希が言う。

優希:
あ、えと、その…こ、これはね!
学校のみんなで出し物をやる事になってね…その…


勇気:
んで、運動音痴の姉貴は追いつけるよう一生懸命努力をしている真っ最中だった、と。


優希:
あぅあぅあぅぅ…


泣きそうな顔になっている優希の身体を易々と持ち上げて立たせると、勇気はため息混じりに語り掛けた。

勇気:
あのなぁ…そー言う時のための姉弟じゃねぇのか?


優希:
…ぇ…?


勇気:
タダでさえ苦手な分野の事やろうとしてるんだから、こんな時くらい頼って来いよ。
…俺も、暇してたし…な…


何故か照れてそっぽを向きながら言う様子を、呆けたように見ていた優希。

その瞳には徐々に涙が溢れ、

優希:
うん……ありがとね…ありがとうね……


最後の方は聞き取れないほどの小さな声で、しかしはっきりと言ったのだった。
 
 
 
数分後。

勇気:
ほらそこ、ステップが左右逆。
あーちがうちがう、そこは腕を上げながらだろ?
ほら、また回転が甘いって。


優希:
ひぃぃ~~ん


勇気先生によるスパルタ講習会が幕を開けていた。

勇気:
俺の踊ってるの見ながらやれよ?
てか、俺が最初に覚えてどうすんだよ…


優希:
そ、そんなの知らないよぉ~~


勇気:
それにこんなテンポの速い曲、姉貴の普段を見てれば選ぶはずねぇのにな


優希:
むぅ~~!
どうせ私はトロいですよーーだ!


勇気:
ほれそこ拗ねない。
曲始まるぞ。

 

曖昧3cm そりゃプニってことかい? ちょっ!

ラッピングが制服…だぁぁ不利ってこたない? ぷ。

がんばっちゃ やっちゃっちゃ そんときゃーっち&Release ぎョッ

汗(Fuu!)々(Fuu!!)の谷間に Darlin' darlin' F R E E Z E !!

……


 
それから2時間後。

勇気:
まあこんなモンだろう
姉貴もだいぶ踊れるようになったみたいだしな


優希:
はぁ、はぁ、はぁ…つ、つかれたぁ~~


勇気:
まあ普段運動しない姉貴にしては頑張った


優希:
うぅ…しないんじゃなくて、できないんだよぉ…


勇気:
折角伏せてやったのに自分で言うか…


優希:
あぅぅ~…


勇気:
しかしまあこんな激しいの誰が選んだんだ?
それに、どっかで見た覚えが…


優希:
あ、えっとね…これだよぉ~


勇気:
ん、サンキュ


優希からチラシを受け取る勇気。

直後、何かを諦めた表情で盛大にため息をつく。

勇気:
姉貴…もうちょっと人付き合い考えた方がいいぞ…


優希:
ぇ…ぁ…そ、そうかなぁ…


そのチラシは、とあるマンガ・アニメ・ゲームの関連商品を販売する店が発行している無料情報誌の折り込みだった。
 
 
優希:
ふわぁ…汗でべとべとぉ…
お風呂に入ってきちゃおうっと


唐突に言い出して立ち上がろうとする優希。

次の瞬間。

優希:
ぇ…


勇気:
!!!


一瞬の出来事に、勇気は一歩も動く事ができなかった。

立ち上がるために踏み込んだ足が、疲れが出ていたのか身体を支えきれずに傾く。

同時に倒れ込んでいく優希の華奢な身体。

言葉を発する猶予も無かった。

しかし、

――ぽすっ

勇気:
ぇ……


何とも心地良さそうな音が、優希を転倒の危機から救い出したのだった。

優希:
ほぇぇ…びっくりしたぁ…


勇気:
びっくりしたぁ、じゃねぇ!!
気をつけろよ!!


思わず怒鳴りつける勇気だったが、優希の関心はその他に行っていた。

優希:
あ~、これこんな所にあったんだぁ


勇気:
はぁ?


優希が抱きしめているそれは、まさしくクッション役を全うしたオレンジ色のビーズクッションだった。

勇気から見ると、フェルトで描かれた怪しい笑顔が、何か遣り遂げたような誇らしげなものに見えた。
 
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