そこは雪の止むことのない純白の街。 ようやく辿り着いた安息の地に、無数のきらめきが舞い降りる…
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三輪・島原・神埼・揖保乃糸
2007-08-07 Tue 08:19

優希:
んしょ、んしょっと…


――ずるずる…

優希:
うぅぅ~~…お、重いよぉ~~…


勇気:
姉貴、そんなデカい台動かして何するつもりだ?


優希の奇妙な行動に半ばげんなりした様子で尋ねる勇気。

すると、いかにも重たそうな木製の台を引き摺る手を休めて優希が苦笑いを浮かべる。
 


優希:
えっとねぇ~、えへへへ…


勇気:
まあいいや、怪我しないように気をつけろよ?


優希:
うん!


しかし勇気は気付いていた。

しかもこの常冬の街にこんなものがあるとは思いもしなかったのだ。
 
 
 
2時間後。

優希:
できたぁ~~


勇気:
お、結構しっかり出来てるじゃん
がんばったな姉貴


優希:
うん!


優希が頑張った成果がリビング一面を覆っていた。

主な構成物は、立派な青竹を真っ二つにしたもの。

それが雨どいのように水を伝わせる構造だ。

そして、それらはなだらかな坂を作っていて、始点から水を流せば終点までそこそこの勢いで流れる仕掛けになっていた。
 
 
するとにわかにそわそわしはじめる優希。

優希:
そろそろ出来上がるはずなんだけどなぁ…


勇気:
何がだ?


優希:
えへへ…ひみつだもん♪


素っ気なく訊いた勇気だったが、優希が何をしているのかは分かっていた。

そして、

友野:
お~~い、二人とも居るかな~~?


勇気:
こんちは、準備できてるみたいなんでこっち上がって下さい
みんなも遠慮しないで上がってくれよ


男子生徒1:
おっじゃまっしまーす!


女子生徒1:
わぁ~ゆきちゃんこんなの作ったんだ~~


男子生徒2:
な、なんじゃこりゃ?!
こんなの初めて見たぞ…?!


女子生徒2:
常冬の街じゃ滅多に見ないもんね~
うぅ…ボク、ドキドキしてきちゃったよぉ


友野と同級生たちが一斉に上がりこむ。

すると台所の奥から優希が姿を現す。

優希:
あ、みんないらっしゃ~~い
もうすぐ始められるから、もうちょっと待っててね~


手に持つざるの上には、白糸のような細さを誇る乳白色の輝きが乗せられていた。
 
 
 
男子生徒1:
ゆう、そこの薬味とってくれよ


勇気:
そんくらい自分で取れよ…
どうせ本当は姉貴に取らすつもりだったくせに…


男子生徒1:
ちっ、バレて~ら


友野:
ん、どうやら準備オッケーみたいだね
それじゃ優希ちゃん、よろしくね~


優希:
はぁ~~い♪
それじゃあ、流しますね~~?


男子生徒2:
お、おうっ!


女子生徒2:
ボク、上手く取れるかなぁ…


男子生徒1:
まぁオマエなら何とかなるんじゃね?


女子生徒2:
う、うん…がんばるよ!


会話が途切れると同時に、竹の水路を滑り来る細い麺。

勇気:
いっただきぃ~っと


男子生徒2:
くっそーー!!折角先頭に居るのに取れないぜ…!!


優希:
どんどん流すから、いっぱい食べてね~~


女子生徒1:
えいっ!
あぁ~…2本しか取れなかったよぅ…


男子生徒1:
そのお陰でオレががっつり頂けるっと


ワイワイと楽しそうな優希と同級生たち。

その陰からこっそり勇気をつつく人物がひとり。

友野:
勇気くん、勇気くん


勇気:
何ですか?


友野:
この企画考えたの、キミかい?


勇気:
いーえ、企画から制作に至るまで全部姉貴がやりましたよ


勇気の言葉に驚いた表情を浮かべる友野。
 
 
すると、

伯父:
ふぉっふぉっふぉ、あの子らしい催し物ではないですかな


友野:
町長…お聞きになってたのですか


突如現れた双子の伯父にあたる「雪の舞い降る街」町長の姿に、再び驚愕する友野であった。

伯父:
何やら楽しそうな催し物があると聞いてのぅ
それよりも…


勇気:
……?


伯父:
この街に来てから、あの子もすっかり元気になった
もちろん、君もね


勇気:
お、俺は…別に変わってなんか…


伯父:
二人とも確実に元気になってきておる
他所から見れば分かる事じゃ


勇気:
そうですか…


友野:
まあ何はともあれ、今は楽しもうじゃないですか
夏の無い街で、折角夏らしいイベントなんですからね!


伯父:
ふぉっふぉっふぉ、そうじゃな


勇気:
って友野さん…
腹鳴ったの聞こえてないわけじゃないですよ…


友野:
あ、あははは…参ったなぁ…
とりあえず、突撃~~!


勇気:
ちょっ、こら友野さん!!


無邪気に駆けていく友野を追う勇気を眺めて、伯父は呟いた。
 
 
 
伯父:
あの子達はあんなに幸せそうじゃ…
お前さんの望んだ通りにのぅ…


双子のはしゃぎ声と伯父の言葉は、もしかしたら本当に聞こえていたかもしれない。

間もなくやってくる、お盆の風に乗って。

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