そこは雪の止むことのない純白の街。 ようやく辿り着いた安息の地に、無数のきらめきが舞い降りる…
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ささめ雪の降る頃に(前編)
2007-08-13 Mon 08:31

ある日の夕暮れ時。

学校帰りの優希がふと郵便受けを見てみると、

優希:
あれ、何か届いてる…?


届け物のサインが掲げてあった。

優希:
ほぇ~お手紙だぁ~
誰からだろう…


リビングに荷物を置いて封を切ると、そこには懐かしい文字があった。


――拝啓、上白瀬優希さま

お久しぶりです。お元気ですか?
お引越しされてから便りを出すまでに、随分と間が開いてしまいました事お許し下さい。

この度、私もようやく部活動がひと段落し、お暇を頂ける運びとなりました。
つきましては、突然で申し訳ありませんがお二人の新居にお邪魔させて頂いても宜しいでしょうか?

……



優希:
わぁ~ささらちゃんだ~~
って、早くお返事しないと…


優希の言う「ささら」とは幼馴染の女の子で、正しくは「麻績ささら」(おみささら)という。

名が体を表さず長身かつ端正な顔立ちで、まるでモデルではないかと思わせる外見。
それとは対照的な慎ましい性格が、彼女を一躍人気者に伸し上げたのだ。

すると、ちょうど帰ってきた勇気が手紙を覗き込む。

勇気:
お、ささらの手紙か
相変わらず硬い文章だなぁ…


優希:
ねぇねぇ勇気~
ささらちゃんが遊びに来たいって言ってるの
もちろんいいよね?


勇気:
何でいきなり「もちろん」なのかは分からんが…
まあ遊びに来る分には構わねぇんじゃね?


優希:
わぁ~~い♪
それじゃあ早速お返事しちゃうね?


勇気:
ん、任せた

 
 
 
そして、優希が手紙を出した2日後。

――コンコン

???:
こんにちはぁ~~


優希:
あ、ちょっと待っててね~~


玄関口にあわてて駆けていく優希。

勇気:
あー姉貴、そこあぶな…


言いかけた次の瞬間には、

――どて~ん!

優希:
ふぇぇぇ…いちゃいよぅ…


???:
だ、大丈夫ですか…?


優希に手を差し伸べる少女に、勇気がゲンナリ顔で言った。

勇気:
な、姉貴変わってねぇだろ?ささら


ささら:
そ、そうですね


呼ばれた少女、ささらは涙ぐむ優希を優しく抱き起こしていた。
 
 
 
優希:
ほぇぇ…向こうはそんなに暑いんだぁ


ささら:
はい、毎日35度以上になる猛暑だと仰っていました


勇気:
気象予報士にそんな敬語は要らんと思うが…


ささら:
いえいえ、毎日私たちに貴重な情報を知らせて下さっていますし、感謝しなければいけません


勇気:
インターネットで調べれば一発だろうに


ささら:
えぇ、そうなのですが…
私の家にはパソコンという利器がありませんので…


優希:
あぅあぅ…
ささらちゃんかわいそう…


ささら:
ゆきちゃん、気になさらないで下さい
受験に無事成功したら買って頂ける約束ですので


勇気:
ほぅ…
まあささらなら心配ないだろうけど


ささら:
そんな事はありません
日々の鍛錬を怠ればすぐに追い抜かれてしまいます


勇気:
そんなモンかねぇ


久しぶりの再会とあって、3人は暖炉の前でとりとめのない話に花を咲かせていた。

"親友"とのひと時は何物にも変え難い、言うなれば宝物のような大切な時間だった。



話がひと段落すると、唐突に勇気が問い掛ける。

勇気:
なぁ、ささら


ささら:
はい?


勇気:
こんなトコにまで押しかけてきたんだ
ただ遊びに来た、と言う事は無いんだろ?


優希:
ほぇ…そうなの?


優希が心配そうに尋ねると、ささらは苦笑いを浮かべながら言った。

ささら:
ゆうさんには敵いませんね…
お察しの通りです


勇気:
で、何があったんだ?


ささら:
大変お恥ずかしい事ですが…実は…


優希:
(ごくり…)


ささら:
お二人が去った後も、学校では良からぬ風習が残ってしまっておりまして…


勇気:
つまり、イジメ癖が抜けねぇっていう事だな


ささら:
はい、その通りです…


沈痛な面持ちで頷くささら。

それを意に介さず、勇気が言う。

勇気:
で、原因になった俺らにどうしろって?


優希:
ちょっと、勇気ぃ


勇気:
姉貴は黙ってろ…ささら、結論だけ言ってくれ
俺たちにどうして欲しいんだ?


ささら:
お二人に、何か解決のアドバイスを頂ければと…


勇気:
ウソだな
責任を取りに戻って来いと言いたいんだろ?


ささら:
そ、そんな事は…


勇気:
そうでなければ、今更そんな事を聞きにわざわざ出向いてくるような事は無いだろう


萎縮してしまっているささらを仁王立ちになって見下ろす勇気。

すると、

――パァァァ…ン…!

勇気は目を疑った。

まさか、優希にビンタされるとは思ってもみなかったからだ。

優希:
勇気っ!言って良い事と悪い事があるよ!
幾らなんでも今のは酷すぎるよ!


勇気:
姉貴…


優希:
…勇気は、私も、自分も守りたかったんだよね?
その気持ちはすごく分かるよ…


勇気:
……


優希:
でもね、ささらちゃんはそんな事言わないよ
そうでなければ、泣いたりしないもん


ふと振り返ると、優希の言う通りささらは泣いていた。

演技にしてはあまりにもリアル過ぎる、本当の意味での感情の暴走が招いた涙だ。

そんなささらに、優希はそっと歩み寄って言った。

優希:
ささらちゃん、ごめんね
私たち、まだ完全に立ち直った訳じゃないから…


ささら:
いえ…私も、配慮が足らなかったです
ごめんなさい…


優希:
ううん、気にしないでね


ささら:
…ありがとう、ございます…っ!


再びの涙。

優希はそっと寄り添って、優しく抱きしめるのだった。
 
 
 
数分後。

ようやく落ち着きを取り戻したささらが語りだした。

ささら:
もう1ヶ月以上前の事です
皆さんの感情の矛先が、私に向くようになったのは…


勇気:
…つまり、俺たちと同じ目に遭ったと


ささら:
仰る通りです…お恥かしながら…


優希:
恥かしくはないよぅ
ささらちゃんが何かしたっていう訳じゃないんだし…


ささら:
彼らは私にこう言い放ちました
「いじめと言うのはされる側に原因がある」と


勇気:
そらウソだ
そういう奴らの常套手段に過ぎない


ささら:
そ、そうなのですか…?


勇気:
理由なんてある訳ないさ
少なくとも「いじめられる」理由なんてモノはない
奴らが難癖つけた事こそが「いじめる」理由なんだ


ささら:
難しいですね…


勇気:
結局「いじめたくて」いじめは起こるわけだからな
いじめられる側は、弱みにつけ込まれただけなんだ
そういう意味では、テメェのガキの制御も出来ない、親を名乗る大人にも原因は有ると言えるがな


優希:
勇気…


勇気:
ん?


優希:
今日はささらちゃんのお話を聞く日だよ
勇気の気持ちも分かるけど…


勇気:
あ、あぁそうだったな
スマンスマン


ささら:
いえ、お気遣いなく…


優希:
だめだよ、ささらちゃん


ささら:
え…


優希:
今日は思うこと、したいこと、いっぱいお話して欲しいな
私、ささらちゃんの力になってあげたいもん


ささら:
ゆきちゃん…


しばしの間をおいて、俯いていたささらが顔を上げる。

ささら:
では…お気持ちに甘えさせて頂きます

 
 
 
その後のささらは、まさに堰を切ったようにまくし立てた。

誰それが何をした、誰それが何を言った、と話す言葉は止め処なく続く。

今まで蓄積されていた鬱憤を晴らすが如く、親友の前で全てをさらけ出すのだった。
 
 
 
to be continued...
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