そこは雪の止むことのない純白の街。 ようやく辿り着いた安息の地に、無数のきらめきが舞い降りる…
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光の導く先、風の辿り着く場所 2
2007-11-13 Tue 01:39

友野:
優希ちゃん着いたよ~起きて~~


優希:
ふぇ…?


寝ぼける優希の目に、眩いばかりの日の光が差し込んできた。



優希:
あれ…私…


友野:
あはは、あんまり気持ち良さそうに寝てるから起こすに起こせなくてねぇ


優希:
ぁぅ…ごめんなさい…


友野:
いや、休めるときに休んでおいた方が良いよ
こういうのは体力勝負になるから、ね?


優希:
…すみません


すっかりしょぼくれる優希の頭をそっと撫でながら、友野は言った。

友野:
勇気くんが心配なのは分かるけどあんまり気張らないで、ね?


優しい笑顔に、優希は

優希:
…はい


表情を和らげるのだった。

友野:
しっかし、さすがに工業地帯だけあって、この辺り以外は工場だらけだなぁ…


友野に促されて車を降りた優希が目にしたのは、海岸線いっぱいに軒を連ねる工場の山だった。

背後には大きな立方体の建物がある。

友野:
ここが「海遊館」だよ


ぽかんと見上げる優希の背後に立ち、友野が説明する。

優希:
そうなんですかぁ…


すると、

『ご来館のお客様のお呼び出しを申し上げます…かみしらせゆうき様、かみしらせゆうき様…』

優希:
え…?!


友野:
ここでも何か仕掛けを用意しているようだな…
優希ちゃん、行こう!


優希:
はいっ


二人は駆け足で建物の中に入っていくのだった。
 
 
優希:
こ、これは…?


女性職員:
私は渡すように託(ことづか)っただけですので…


優希が受け取ったのは、1通の封筒だった。

友野:
これ以外には何かありませんか?


女性職員:
いえ…そちらの手紙以外は何も頂いておりません


友野:
渡した人の特徴は?


女性職員:
女性とも男性ともつかない…両性的な方でしたので、性別は申し上げかねますが…身長はちょうどお客様と同じくらいか、少し低いくらいでした


友野:
なるほど…ありがとうございました
優希ちゃん、行こうか


優希:
あ、ちょっとお手洗いに…


友野:
了解、じゃあ先に車に戻ってるからね?


優希:
わかりましたぁ~

 
 
 
10分後。

封筒を持っているのが優希だったため、手持ち無沙汰な時間を過ごしていた友野が大きなあくびをしたちょうどその時、

――バン
ドアが勢い良く開く音と共に、優希が体を滑り込ませてきた。

優希:
お、遅くなりましたぁ


友野:
ふぁ?!あ、お、おかえり


優希:
と、友野さん…なんて顔で…ふふ…くすくす…


友野:
あ、こ、これはだね、その…


優希:
いいんですよ、ずっと運転されて疲れましたよね
友野さんはお休みしていてください


友野:
しかし…


優希:
大丈夫です、勇気はきっと無事です
双子ですから…何となくですけど分かります


友野:
そ、そうかい…


友野の反応を待たず、優希は封筒の封を切っていた。

友野:
それじゃあ、少し休ませてもらうよ


優希:
はい…


座席を倒し寝転がるのを見届けて、中に入っていたメモを読むべく二つ折りの紙を広げた。

その時、

――ぼふんっ!

妙な音と共に赤い煙が立ち込めて、車内を満たした。

優希:
わっぷ!けほけほっ


どうにか窓を開けて煙を追い出す。

優希:
うぅ~~…な、何なのよぉ~…


涙目になりながら手元の紙を見てみると、家に置いてあったような切り張り文字でこう書かれていた。

「 封 筒 を 切 り 開 き 問 い に 答 え ろ 。 対 戦 相 手 は 隣 の 男 だ 。 」

何の事かと首を傾げながら封筒を丁寧にばらしていくと、

優希:
な、何これ…?


パソコン印刷の文字と一緒に8つの付箋紙が貼られていて、それぞれに単語が1つずつ書いてあった。

問題:次の名産品・特産物から、石川県のものを選択せよ
    なお、誤答選択は即失格になるので注意する事
    (間違いは1つだけとは限らない)
    また、一度に選択出来るのは3つまでである
[九谷焼] [五家宝] [加賀友禅] [輪島塗] [山中漆器] [七尾城山焼] [宝達くず] [越前そば]

優希:
えっと…石川…?


早速付箋紙の選択肢をめくろうとする優希の手を、男性の手が押し留める。

友野:
だめだなぁ優希ちゃんは
ルールには従わないと、ね


倒していた座席に寝そべっていたはずの友野が笑顔で優希に迫った。

優希:
ぇ…ぁ…


友野:
さぁ、勝負しようじゃないか
僕だってこんな疲れる旅を延々続けるつもりは無いしね


優希:
そ、そんな…っ


思いもよらないセリフに動揺を隠せない優希に、友野は言葉を続ける。

友野:
旅を続けたければ、僕に勝つことだよ


冷たい言葉を叩きつけられる。

しかし、優希は気付いていた。
友野の様子が明らかにおかしい。

言うなれば魂が抜けてしまっている様な生気の無い目だ。

優希は意を決して、でも語り掛けるように優しく言った。

優希:
友野さん…私のせいでごめんなさい…
すぐに助けてあげますからね


友野:
……まあいいよ
解答順を決めようじゃないか


そう言って取り出したのは、10円硬貨だった。

友野:
表なら優希ちゃん、裏なら僕ね


弾かれて宙を舞い、友野の手の甲にぽとりと落ちたそれは、反対の手に押さえられる。

そして開かれた手の甲の上のコインは、表向きだった。

友野:
優希ちゃんの先攻だね、さあ選んで


この時、優希には確信があった。

この勝負は先攻を取れた時点で勝った、と。

優希は慎重に付箋紙を2枚取り除く。

---------------------------------------------
優希セレクト:[加賀友禅] [輪島塗] 
友野セレクト:
残り付箋紙:[九谷焼] [五家宝] [山中漆器] [七尾城山焼] [宝達くず] [越前そば]
---------------------------------------------

優希:
これで私の番は一旦おしまいです


友野:
了解、じゃあ僕の番だね


そう言って友野は特に考えることなく1枚取り除いた。

---------------------------------------------
優希セレクト:[加賀友禅] [輪島塗] 
友野セレクト:[七尾城山焼] 
残り付箋紙:[九谷焼] [五家宝] [山中漆器] [宝達くず] [越前そば]
---------------------------------------------

友野:
僕の第1ターンはこれで終わりだ


優希:
…そうですかぁ


ため息をつくような小さな声で言って、優希は再び問題文に視線を向ける。

優希:
3つまで、いいんですよね?


友野:
ああ、そうだね


優希:
…じゃあ、これで決着です!


言うが早いか、優希は一切の迷い無く手を伸ばして付箋紙を取り除いた。

---------------------------------------------
優希セレクト:[加賀友禅] [輪島塗] [九谷焼] [山中漆器] [宝達くず] 
友野セレクト:[七尾城山焼] 
残り付箋紙:[五家宝] [越前そば]
---------------------------------------------

すると、

――ぱぱらぱっぱぱ~~☆

ファンファーレが鳴り響き、問題文の書いてあった場所に「FINISH!」の文字が浮かび上がった。
同時に、「先攻勝利!」とも書かれている。

優希:
ふぅ…


大きく息をつく。

それとほぼ同時に、再び煙が立つ。
しかし今度は青い煙だった。

優希:
わわっ!けほん、けほん…
うぅ~~またなのぉ~~?


愚痴る優希を余所に、車の中一面が煙に満たされた頃、隣の座席から「ドサッ」という音が聞こえてきた。

優希:
えっ…と、友野さんっ?!


慌てて手に持っている紙で煙を外に扇ぎ出す。

そして、運転席でぐっすりと眠っている友野の姿が確認できた。

優希:
よ、よかったぁ…


ほっと胸をなでおろす。

優希:
それにしても…何で紙きれだけでこんな魔法みたいな事が…


言いながらひらひらとメモを動かしていると、メモの変化に気付く。

問題文の書かれていた部分が明らかに白い。

優希:
え…?!


確認してみると特定の文字だけが残っていて、それを判読する事が出来た。

「石川県 に い け」

優希:
石川県…それが勇気が連れて行かれた場所…


優希は開け放たれた窓の外を見遣りながらつぶやいた。

そして静かに車の外に出て岸壁の側まで歩を進め、海を背にして言うのだった。

優希:
待っててね勇気…
お姉ちゃん、絶対助けて見せるから…!


優希の見ていた方向、それは石川県のある北東の方角だった。

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