そこは雪の止むことのない純白の街。 ようやく辿り着いた安息の地に、無数のきらめきが舞い降りる…
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祈る思いが輝く樹
2007-12-11 Tue 23:50

優希:
も~ぅい~くつね~る~とぉ~~♪


勇気:
ご機嫌だな…


優希:
うんっ、何だかうきうきしちゃうよぉ


はじけんばかりの笑顔を振りまきながら言う。

その優希が飾り付けるのはクリスマスツリーだったが、勇気にツッコむ余地は与えられなかった。



優希:
んしょ、んしょ…


今度は飾りのモールと格闘し始めていた。

勇気:
姉貴、オレも手伝おうか?


優希:
だいじょうぶっ、今年は私が全部やるんだもんっ!


勇気:
とは言ってもさ…


なおも続けようとするセリフを、悲鳴に近い金切り声で掻き消す。

優希:
だめなのっ!
そう言って去年も一昨年もその前もずっとやらせてくれなかったでしょっ!?


勇気:
むぅ…


それもこれも、優希が毎年のように絡まったモールを解こうとして自身が絡み取られているからなのだが、意固地モードに突入している優希には何を言っても無駄であった。

勇気:
まあ、困ったら言ってくれよ
オレは晩飯の支度でもしてるから


極力優しい口調で話しかけたのだが、優希の方はすっかりむくれ顔で返事もしなかった。

勇気:
(姉貴は一度言い出したら聞かねぇからなぁ…)


心の中でやれやれとため息をつきつつ、台所へと退散するのだった。
 
 
 
リビングのドアが閉められるのを確認して、どうにか守りきったツリーに向き直りながら優希はつぶやく。

優希:
ふぅ…勇気ったら、心配性なんだよね…


ブツブツ言いながらも手は休まる事無く、モールの絡まっている部分を解くべく格闘していた。

優希:
えっと…これがこうなっててぇ…
こっちが輪の中を抜けてて…あれ?あれれ??


複雑に絡み合ってしまっている部分を見れば見るほど、目の錯覚に襲われてしまいうまくいかない。

ただでさえでもキラキラと輝くモールなのだから、当然といえば当然だ。

優希:
いつもはここでムチャクチャに引っ張ってダメになっちゃってたんだよね…


すぅ、と大きく深呼吸すると、優希は一方の端を摘み上げる。

優希:
これを間違えないように輪っかの中に通していけば、いつかは解けるよね


何度も触れているうちに、固結びのようになっていたものがほぐれて隙間が出来ている。

優希は、慎重に今持っている端を、まっすぐ伸びて通過している輪に通していった。

優希:
通り抜けてっと…うん、絡まってないよね…


確認するように、隙間を通り抜けたモールを見つめるのだった。
 
 
 
一方…

勇気:
(うわー…すっげー危なっかしい手つき…)


台所での作業も終わり、リビングのドアをうっすらと開けて様子を窺っていた勇気は内心穏やかではなかった。

とはいえ、曲がりなりにも正しい手順を追うその姿に、安心もしていた。

勇気:
(今年は姉貴に全部任せても大丈夫そうだな)


そっとドアを閉め、勇気は部屋に戻る事にした。

どうせ30分や1時間では終わる事は無いだろうからだ。

勇気:
まあ、たまには昼寝でもさせてもらうか…


これといってやる事の思いつかなかった勇気は、後ろ頭を掻きながらつぶやくのだった。
 
 
 
数時間後。

すっかり日も暮れて辺りが闇に包まれる頃に勇気は目覚ましのけたたましい音で起きた。

勇気:
ん…もうこんな時間か…
メシ作んねぇと…


半ば寝ぼけている状態で台所に立ち、鍋に下ごしらえの済んでいる材料を放り込んでいく。

そして、熱したフライパンに炒め物の野菜を入れる段になってようやく完全に目覚めた。

――ジュワワァァ

勇気:
そういえば…姉貴どうなったかな…


疑問は浮かぶが、

勇気:
まあ、そのうち腹空かせてこっち来るだろう


そこそこ重みのあるフライパンの柄を握る現状ではどうしようもなく、料理に集中する事にしたのだった。
 
 
煮物の煮込み時間と炒め物の仕上がり時間をちょうど揃えて、盛り付けも手際よく終える。

勇気:
んん~~~…


とはいえ、優希の手伝いも欲しくなる器の量だ。

勇気:
仕方ねぇ…姉貴呼んでくるか…


勇気は意を決して台所を出るのだった。
 
 
 
――ガチャ…

勇気:
姉貴ぃ、メシ出来たぞ~


ドアを開けつつ声を掛けてみるが返事は無い。

代わりに目に飛び込んできたのは、

勇気:
おいおい…


ツリーの前で器用に丸くなって眠っている優希の姿だった。

勇気:
全く…体力無いんだから無理すんなって言ってるのに…


愚痴りながら優希の華奢な身体を抱き上げ、ツリーに視線を向けると、

勇気:
…すげぇ


今まで自分が仕上げてきたそれとは一線を画す、綺麗な飾りつけが施されていた。

勇気:
さすが姉貴だな…オレには真似できねぇ


勇気が見惚れていると、腕の中で丸くなっていた優希が身じろいだ。

優希:
…ぅん……勇気ぃ……


言葉はあれど瞳は閉じられ、今だ夢の中にある事を示していた。

勇気:
どした?


優希:
わたし…がんばったよぉ……


僅かにひそめられる眉から、夢の中の優希が何を望んでいるのかを読み取る勇気。

そして、

勇気:
ああ、よくやったな
姉貴はやっぱすげぇよ


上半身を支える腕を器用に捻り、優希の頭を撫でる。

すると優希は、本当に眠っているのか疑いたくなるほどの満面の笑みを浮かべるのだった。

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