そこは雪の止むことのない純白の街。 ようやく辿り着いた安息の地に、無数のきらめきが舞い降りる…
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想えども想えども 前編
2007-06-07 Thu 18:40

 
勇気:
姉貴、ちょっといいか?


優希:
ほぇ?あ、うん。いいよぉ~


勇気に呼び出されて優希はそばに駆け寄る。

優希:
どうしたの?勇気。


勇気:
朝これ持ってくの忘れたろ。ほら。


勇気が手に持つのは、ピンク色の可愛らしい布に包まっている小箱だった。
 


 
優希:
ぁ…あぁぁっ!ご、ごめんね勇気!
持って来てくれたんだ…


勇気:
折角朝早くから頑張って作った弁当だろ?
自分が忘れてどーすんだよ。


優希:
はぅぅ…


そう言いつつも、しょぼくれる優希の手に弁当を持たせる勇気。

勇気:
ま、これで食いっ逸れる事も無い訳だ。
今度からしっかりしてくれよな。


優希:
うん、ごめんね…


俯きながら小さい声で言う優希の頭を、勇気はいつものようにそっと撫でた。

勇気:
いつもの事だ。気にしてないさ。

 
 
ここは「雪の舞い降る街」で唯一の学校。
小・中・高の一貫教育を一自治体がやっているという、地域性がなせる業をやってのけた所だ。
理由は簡単で、それだけ生徒数が少ないと言う事。
学校施設をいくつも作るより、この方が安上がりなのだ。
それ以外にも、年齢の離れた子供たち同士の交流が多くなる事で、都市部にあるようないじめ問題も無いという副産物が付いてきている。

引越してきてようやく新居での生活にも慣れ、双子もいよいよ復学となったのだ。
 
 
そして昼休み――

優希:
勇気~、待ってよぉ~~


勇気:
姉貴…頼むから学校でそれは勘弁してくれ…


優希:
ほぇ?


勇気:
いくら双子とは言ってもだな…

優希:
大丈夫だよぉ。
ほらほら、ご飯食べに行こぉ~~


勇気:
だ、だからそう引っ付くなって!


勇気にしてみれば、軽く振りほどいたつもりだった。
しかし受け所が悪かったのか、派手に弾かれた優希はしりもちをつくようにその場に座り込む。

優希:
ぇ……ぁ……


勇気:
わ、悪ぃ!!大丈夫か姉貴!!


慌てて抱き起こそうとする勇気。
すると、

優希:
ごめんね、勇気。
私ちょっと舞い上がってたね…


その手をやんわりと受け流しながら、床に転がっていた弁当箱を拾い立ち上がった。

勇気:
いや…


優希:
勇気は気にしないでいいよ?
私が悪いんだもん、ね?


勇気:
そんな事は…っ!


慌てて言い返そうとする勇気に、優希は笑顔を向けた。

優希:
今日は一人で食べてくるね。
お弁当も、もうダメだと思うし…


勇気:
姉貴…


優希:
じゃあね、バイバイ。


そう言うと、優希は脱兎の如く駆け出した。
すれ違い様に勇気の手に触れたのは、熱い水滴。

勇気:
っ!!姉貴ぃ!!


叫べども、すでに視界に姉の姿は無く。

結局、昼休みが終わるギリギリまで優希が教室に戻ってくる事は無かった。
 
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